茶人に、町民に愛された自然の風味
竹工芸の歴史

金沢の町には身近に豊富な竹林があったため、古くから竹の特徴を活かしたものが多くつくられた。日常生活では、ざる、籠の小物から、農業用の蚕棚、漁業・土木用の大きなものに至る一般品をはじめとして、茶道具の茶杓、花生の工芸品や武具、楽器に及ぶ高級品などが数えられる。
中世から近世にかけて、茶道、華道が盛んになるにつれて竹工芸が愛好され、加賀藩における細工所でも数人の竹工が従事していたとされている。
明治以後も、伝統工芸品に比して、日常必需品が数多くつくられ続けたことは否めないが、昭和初期の最盛期には、金沢市の製造業者は約80戸、職人数は約130人であったという。
しかし、戦後に至り、プラスチック製品やダンボールが大量に生産されたことで、流通事情が一変して実用品の生産は激減した。最近は、竹の長所を活かし、竹工芸として網代編主体の高度な紋様編の茶道具、花器などがつくられ、金沢の工芸の伝統を今に伝えている。手づくり的な要素を残した竹の素朴で優れた特質が見直されている。
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