全国に名を馳せた繍いの芸術
加賀繍の歴史

江戸時代の加賀友禅の加飾などに使われて発展したと考えられるが、発祥は明らかではない。明治以降、回漕業者の没落で港町美川を中心に、家庭婦人達の手内職として洋風の飾り刺繍などが行われ出した。
大正から昭和にかけて、半襟や帯地の生産も始まり、昭和9年には工場数27、職工750名を数え、加賀刺繍の名は全国に広まった。
戦後は、外人向けのハンカチ刺繍等で復興し、今日では帯、打掛け、振袖などに見られる豪華で、しかも繊細な美しさが高い評価を受けている。また、これまでの高級呉服刺繍一辺倒から新しく美術工芸部門に進出し、芸術的香りの高い室内装飾品、家紋額等もつくられ、注目を浴びてきている。
技法としては、表の繍糸と裏糸が同一方向となっているので、糸切れが生じても手切れ部分のみで補修でき、帯や着物には縒り合わせた糸を使うので強い刺繍ができる。また、無地の布地に下絵を描いて刺繍するものが多く、染めた文様の上に刺繍していく京刺繍とは異なった趣きを持っている。
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