啓発情報誌 ス・テ・キ
Kanazawa-kutani
金沢九谷  伝統の金沢九谷が見せる、新しい顔。
金沢九谷

 緑、黄、赤、紫、紺青の五彩で彩られた九谷焼の華麗な色絵の世界は、長い冬、雪が降り積もり白一色に閉ざされる金沢の気候風土から追求されたものと言われています。
  過去の歴史を振り返ってみれば、九谷焼は古九谷から再興九谷に至るまで、それぞれ特徴ある画風を創り出してきました。約三三○年前、絵画的で豪快な魅力を持つ古九谷に始まり、赤を施し中国風の絵柄の木米(約一八○年前)、地紋で全体を塗りつぶした吉田屋(約一六五年前)、精密な人物の周りを小紋などで埋めつくし、金彩を加えた飯田屋(約一五○年前)、洋絵具を用いた絢爛豪華な色絵が特徴の庄三(約一三五年前)、京焼金襴手手法で前面を赤で下塗りし、その上に金のみで彩色する永楽(約一二○年前)まで。それぞれの時代の風潮や人々の好みに合わせて柔軟に変化を遂げたということも、九谷焼のひとつの魅力ではないでしょうか。
  そしてモノや映像メディアを通して周囲に多種多様な色があふれる今、素朴で心和む色を好む消費者のトレンドに合わせて、金沢九谷も新たな変貌を遂げています。

時代の流れとともに変化してきたきわめて柔軟性のある陶芸、金沢九谷。
現代においてはどのような作品が生まれているのでしょうか。

 その大きな特徴は、生活者としての使い手を意識しているということにあります。ライフスタイルの変化にともなって、単に鑑賞する器よりも、日常生活に使いたいと思う器のニーズが高まっているのです。現代の金沢九谷の作家は、伝統的な技術を源流に持ちながらも、さまざまな陶芸のエッセンスを取り込み、現代のライフスタイルに語りかける器を製作しています。
  これらはすべて、金沢九谷振興協同組合に所属する陶芸作家の作品です。伝統的な金沢九谷の色絵の流れを汲む茶器、土のそのものの風合いを活かした素朴な鉢、フォルムの美しさを追求した斬新な器、現代のインテリアと調和するモダンな画風の作品など、それぞれは色絵も、形状も、釉薬の使い方もさまざま。従来の九谷というカテゴリーを超えて、作家個人の個性やセンスが十分に表現されているといえるでしょう。
  柔軟に変化し続ける金沢九谷、そこには常に何か新鮮な発見があるのです。

「白磁色絵妖精文長花入」
「白磁色絵妖精文長花入」
「カニ飯碗」
「カニ飯碗」
「もも皿」
「もも皿」
「茶わん さくら」
「茶わん さくら」
「金彩 松 茶わん」
「金彩 松 茶わん」
「大樋赤彫三島菓子鉢」
「大樋赤彫三島菓子鉢」
「焼〆金彩鉢」
「焼〆金彩鉢」
「掛分け鉢」
「掛分け鉢」
 「赤絵六寸鉢」
「赤絵六寸鉢」
 「青瓷水指」
「青瓷水指」

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