啓発情報誌 ス・テ・キ
Kanazawa-butsudan
金沢仏壇  華燭の日を見守る、荘厳な輝き。

200代下段本三方開
200代下段本三方開

金沢仏壇

金沢仏壇

50代 小型金沢仏壇本三方開
50代 小型金沢仏壇
本三方開

70代 金沢仏壇新三方開
70代 金沢仏壇
新三方開

 金沢仏壇の製作工程には、塗加工や箔押しを施した彫刻を作る「箔彫(はくぼり)」と、木肌を見せる前指や障子の上腰、中腰、下腰を作る「木地彫(きじぼり)」とふたつの彫刻工程があります。
  天女、雲、龍、梅に鶯―。荘厳な金沢仏壇にふさわしい彫刻を、職人は日本画から着想を得て図案を描き、そこから三次元の彫刻の世界を導き出します。彫刻に使われる木は、タブ、櫟、柘植、桑、白檀、黒檀など。原木を製材し、風通しのよい日陰でゆっくりと自然乾燥させますが、この乾燥には五年以上もの月日が必要とされます。おおよその立体的なフォルムを作る荒彫りの工程を経て、モチーフには釣り合いを考えた細かな変化が付けられていきます。
  彫刻に使われるノミや彫刻刀は数十種類にのぼります。職人は木の質、作業の内容により、その作業を止めることなく、リズミカルに道具を持ち替え使い分けていきます。
  一彫り一彫りに精魂を込める仏壇彫刻は、木に生き生きとした命を吹き込み、絢爛豪華な金沢仏壇の精神性を高めているのです。

工程

匠の技 林 利一 氏●はやし としかず
林 利一 氏県立工業高校デザイン科を卒業、家業の仏壇彫刻を継ぎ、三代目となる。現在、金沢市寺町の工房で仏壇店を営みつつ、四代目を目指す長男とともに鑿をふるう。その確かな技は誰もが認めるところだが、本人はさらなる高みを目指し、「江戸時代の日本画の迫力を彫刻で再現したい」と言う。木そのものの美しさを活かした茶杓など、遊び心のある作品の製作にも意欲的。

■仏壇参り

伝統的な金沢の婚礼では、婚家で「仏壇参り」と呼ばれる儀式が行われています。これは、婚家の仏壇にお参りし、家族の一員になることをご先祖に報告するというもの。花嫁は身も心も、生まれた時の様に清らかにという意味から白無垢に着替え、花婿の親族の子供か親戚の婦人に手を引かれ、花嫁のれんをくぐり、両親と仲人が同席し、仏壇参りを行った後に、花嫁は式場へ向かう運びとなります。仏教が人々の生活に深く浸透していた昔を物語るしきたりです。


■からくり仏壇

二〇〇四年一月、金沢仏壇「七十代からくり仏壇二号」が完成します。この仏壇は、歌舞伎役者の高麗屋松本幸四郎が演じる勧進帳の弁慶を描いた蒔絵と、名匠左甚五郎の琵琶湖の龍伝説を題材にした迫力ある龍の彫刻が特長。歌舞伎を仏壇に描くのは初の試みで、さらに龍は首が動くしかけになっているとあって、その完成が心待ちにされています。
詳しくはホームページをご覧ください。http://www.kanazawa-butsudan.or.jp/


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