啓発情報誌 ス・テ・キ
 
金沢仏壇 装飾美に見る、金具職人の気概
金沢仏壇
仏壇「大賀二号」
仏壇「大賀二号」
70代 金沢仏壇新三方開
70代 金沢仏壇新三方開
金具
金具
50代 新型金沢仏壇
50代 新型金沢仏壇

 金沢仏壇は、金沢文化の総括業と言われ、その工程は大きく七段階に分けられます。仏壇を開けてはじめてその存在感を漂わせるのが、仏壇金具です。ひとつの仏壇には百個前後の金具が使われるといいます。仏間の高さが異なれば、金具の寸法も変わるため、あらゆる金具は、職人が一つひとつ、手仕事で丹念に作り上げます。
 金具製作の工程では、金沢仏壇の黎明期からほとんど変わることのない手作業が、今も脈々と続けられています。まず銅合金あるいは銅板を加工した地金を寸法取りし、針で輪郭をたどります。これを切りたがねで切り出した後、模様たがねで細かく模様を掘り込み、形を整えます。酸で油やさびを取り除き、水で流して、充分に乾燥、仕上げにならし槌で表面のゆがみを直し、めっき加工を施します。金具の仕上がり、表情は、手をかけた職人によって異なるといいます。金具職人は紙とペンを携えて寺社を訪れ、文様のヒントを得てくることもあれば、工房でたがねを鋳造することもあります。仏壇金具は職人の美意識と技術が生み出す、小さな美の結晶と言っても過言ではありません。

工程

コラム からくり回転仏壇(ミニ仏壇)金沢仏壇商工業協同組合

先祖を祀るこころは変わりありませんが、現代社会の中でライフスタイルや需要はさまざまに変化しています。金沢仏壇も、従来の荘厳で豪華な仏壇だけではなく、時代のニーズに合わせた新しい仏壇のあり方を模索しています。仏壇と神棚が表裏となったこの「からくり回転仏壇」も、限られた居住空間で、場所をとらず、シーンに合わせて使い分けられる仏壇として、広く提案されています。 (裏面は多目的用途別に組替えが可能)
詳しくはホームページをご覧ください。http://www.kanazawa-butsudan.or.jp/

仏壇 ←180°回転→ 神棚
仏壇 神棚

匠の技 杉林 孝幸 氏●すぎばやし たかゆき
杉林 孝幸金沢仏壇の金具製造を行う伝統工芸士。昭和四十年、二十歳で今村孝氏に入門し、四十八年に独立。石川県伝統産業振興協議会・技能奨励賞を受賞。現在長男とともに金具製作に取り組みつつ、市内各所で実演を行い、その妙技を披露している。修理の注文も多く、先人の優れた「仕事」から学ぶところも多いという。
「仏壇は皆が朝晩手を合わせるところ。それにふさわしいものを作りたい」。

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