啓発情報誌 ス・テ・キ
加賀友禅心ときめく和装の華 加賀友禅
加賀友禅は足利時代にあった加賀独特の梅染(無地染)に端を発し、17世紀中頃、色が混ざり合うのを防ぐ防染糊の発明によって現在の多彩な色使いの基礎が作られました。
図案作成から始まる10以上の製作工程はすべて専門の熟練職人たちによる手仕事。いく人もの手を経て生まれる気品に満ちた美しさ、それが加賀友禅です。
毎田健治
●毎田健治(まいだけんじ)/1940年石川県金沢市生まれ。64年金沢美術工芸大学日本画科を卒業し、父、毎田仁郎氏に師事。75年日本伝統工芸展に初入選し、以来、連続入選。95年通産大臣認定伝統工芸士。加賀友禅界牽引役の一人として活躍。

毎田健治

毎田健治氏作品紹介
加賀友禅訪問着「愛染」
加賀友禅訪問着「愛染」

青や紫が巧みに使われ、約120色の多彩な色が見事に調和。梅格子に菊や牡丹、桃や桔梗など四季の花柄は季節を問わず着用できます。
友禅タペストリー
■友禅タペストリー
加賀友禅小紋着尺
■加賀友禅小紋着尺
加賀友禅染額
■加賀友禅染額
染布
■染布
加賀友禅卓布
■加賀友禅卓布
加賀友禅伝統産業会館
■加賀友禅伝統産業会館

確かな画力と妥協のない色彩感覚が加賀友禅の美しさを生む
 加賀友禅の大きな特徴は自然風物を写し取った絵柄と、多色使いでありながら落ち着きのある上品な色調です。そこには一枚の葉っぱでも3色を使ってぼかすなど、写実的で細かな彩色技法が用いられています。この製作の要となる図案作成と彩色を行うのが加賀友禅作家。毎田健治氏もそのひとりです。「自然の写生をひたすら積み重ね、その美しさを着物にいかに表現するのかが加賀友禅の根本ですね」。こうして生み出された図案は、生地に線で下描きされ、その線に沿って防染糊が引かれます。
 この防染は糸目糊置きといわれ、専門の職人が担当。微小な筒口からもち糊を絞り出しながら、下絵の筆致どおりになぞります。糊の跡は白い線となって残り、柄の一部となるので、作家の意図を汲んで施されるのです。なぞるのも作家が最も際立たせたいと手前に描いた柄から始めます。下描きの上にさらに糊で下描きしているわけで、糸目糊置きは単なる防染以上の意味を持っているのです。
 この糊の細い線で囲まれた部分を彩色するのですが、「色はそれこそ千紫万紅。イメージどおりの色を出すためには、色を混ぜて作って、試し塗りをして、また作っての繰り返し」とか。そして色が決まると何種もの筆や刷毛を使い分けながら一つ一つ色を挿していきます。創作を担うデザイナーであり、熟練した職人でもあるのが加賀友禅作家。さらに毎田氏は「加賀友禅の緻密な技法や伝統のデザインを着物以外にも生かしたい」と、企画ディレクターとしての意欲も旺盛。インテリア分野などにも積極的に取り組んでいます。

パーティでも式典でも自信が持てる本物の一枚
 毎年、春秋の叙勲の時節が近くなるとかならず、加賀友禅の産元商社には全国から色留袖の注文が舞い込みます。これは言うまでもなく、名誉ある式典、祝賀の会に臨むご本人や奥様たちのお召し物。加賀友禅ならどこへ着ていっても大丈夫という、クオリティの高さの証にほかなりません。
 生地は最高級の長浜縮緬。肩にはおっただけですっと馴染んでくるその風合い。染めの着物にこれ以上のものはありません。また、手作業でていねいに彩色された部分はどちらが表か裏かわからぬほどきれいな仕上がり。そして糸目糊が引かれた白い線が美しい柄をよりくっきりと立体的に見せてくれます。
 最初の1枚は用途の広い訪問着を。40代以降のミセスなら色留袖がいいですね。地色は実際にはおってみて顔映りのいいものを選びます。特にくすみのないきれいで爽やかな中間色は女性を引き立ててくれます。柄は四季の花や自然の風景を描いた伝統的なものなら飽きが来ず、長く着られます。
 購入や下見は呉服店の展示会が一番。受注生産なので店頭にはほとんどありませんし、あっても僅か。数多くの中から選ぶなら展示会がおすすめです。また、現在、270名近い加賀友禅作家がいて、一口に加賀友禅といってもその個性はさまざま。数を見ることで作家の特徴もわかってきます。展示会を巡りながら、お気に入りの作家、お気に入りの1枚を見つけてみませんか。


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